彼女は実は男で溺愛で

 decipher本社ビルは6階建て。
 私の配属された総務課は、経営管理本部の中にある。

 他にも様々な部門があり、営業部、企画部、販売促進部、商品開発部などが各階に入っているようだ。

 本社ビルに隣接する形で4階建ての建物があり、そちらは主に入社式に使うような会場だったり、会議室があるようだ。

 本当に迷わないか不安になりながら、朝来た道を戻ると、小さな休憩室にたどり着いた。
 悠里さんは、まだ着ていないようだった。

 小さなテーブルの椅子を引き、腰掛ける。
 窓から見える景色は、灰色のビルばかり。

「あなたの服装を、コーディネートしてあげる」

 別れ際、悠里さんに言われた言葉を思い出し、複雑な気持ちになる。

「私に、似合う服かあ」

 悠里さんのスレンダーで美しい佇まいを脳裏に浮かべ、妬みにも似た感情を吐き出す。

「綺麗な美人さんは、いいよなあ」
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