彼女は実は男で溺愛で

 スタジオに入ると、既にスタンバイを始めているスタッフが慌ただしく働いていた。

 スタジオに併設されたメイク室にフィッティングルーム。
 どれも簡単なパーテーションで区切られている程度で、下着姿で歩いている人さえもいる。

 カメラマンやメイクさんに男性もいるけれど、気にしていないようだ。

 それでも私なら女性がいい。
 特にこの場を仕切る人なら、なおさら。

「おはようございます」

「おはよ」

 朝でもないのに『おはよ』と声をかける独特のルールを肌で感じながら、悠里さんの後に続く。

 悠里さんはスタッフに片手を上げ、挨拶を交わしながら、パソコンの前に向かう。
 撮影した写真をチェックしながら、指示を出している。

 こういう仕事もしているんだ。
 総務課というパソコンばかりに向かっている仕事から、一気にアパレル会社の華やかな面を見た気がした。
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