彼女は実は男で溺愛で

 仕事を終え、携帯に送られた地図のお店へと向かう。

『染谷』と伝えれば予約してあるからと、至れり尽くせりな対応に、行動がスマートだなあと感心する。

 地図を頼りに歩き、お店の前で立ち止まる。
 見上げた外観に怯んで、お店から離れるように再び歩き出した。

 木目の扉の入り口は、雰囲気のある店構え。
 まだ明るいうちから、あの雰囲気。
 夜になればオレンジの灯りにライトアップされ、ますます近寄りがたい雰囲気になるだろう。

 うろうろするわけにもいかず、観念してお店まで戻り、意を決して重厚感のある扉を押した。

 予約してある旨を伝え、案内される。
 2階に上がり、窓から外が眺められる隣り合って座るソファの個室に通された。

 テーブルには、オレンジの淡いキャンドルが置かれている。

 店内にまで、お洒落アイテム!
 学生の頃の友達と行く、コーヒーショップとの違いに慄きながらソファに座る。

 座り心地もいいソファに体を預け、揺らめく光の向こう側に見える、窓の外を走る車を見つめた。

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