彼女は実は男で溺愛で

「ごめん。待った? 先に注文してくれてて良かったのに」

 現れたのは悠里さん側。
 あの後、職場に戻る悠里さんは女性のまま戻るわけにはいかず、ビルにあるシャワー室で着替えたようだ。

 販売促進課でよく使うため、設備に詳しいらしく「こっそり私用で使っているから内緒ね」と口止めされた。

 染谷さんに戻って仕事を終え、ここに来る前に悠里さんになってから来たのかな。

「何度も着替えたり、シャワー浴びたり、大変じゃないですか?」

「ん、でも史ちゃんに事情を話すのに、あっちの格好でどう話していいのか困りそうだから」

 打ち合わせの時にも言っていた。
「それは『悠里』に直接伝えてあげて」と。

「とりあえず注文しましょう」と、注文をして、それから悠里さんは窓の外を見つめた。

< 96 / 390 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop