彼女は実は男で溺愛で
「ごめん。待った? 先に注文してくれてて良かったのに」
現れたのは悠里さん側。
あの後、職場に戻る悠里さんは女性のまま戻るわけにはいかず、ビルにあるシャワー室で着替えたようだ。
販売促進課でよく使うため、設備に詳しいらしく「こっそり私用で使っているから内緒ね」と口止めされた。
染谷さんに戻って仕事を終え、ここに来る前に悠里さんになってから来たのかな。
「何度も着替えたり、シャワー浴びたり、大変じゃないですか?」
「ん、でも史ちゃんに事情を話すのに、あっちの格好でどう話していいのか困りそうだから」
打ち合わせの時にも言っていた。
「それは『悠里』に直接伝えてあげて」と。
「とりあえず注文しましょう」と、注文をして、それから悠里さんは窓の外を見つめた。