Get over it.
「マーマー」

朝からよちよち歩きの(レン)が、私の後をついてくる。

可愛さに思わず抱っこすると、ニコニコ笑って私にしがみついてくる。

「パパを起こしにいこう!」

「こう!」

寝室で寝ている龍生の隣に蓮を降ろすと、蓮が龍生の顔をペチペチと
叩く。

「パーパー、オッキー」

「こら蓮、あんまりパパを叩くなよ。はい、起きたぞ。」


あれから・・・

私は高校を卒業し男の子を出産した。

今は大神組の若姐として子育て組のこととで奮闘中だ。

龍生は、大学に進学しながら組とフロント企業の経営と大忙しだ。



この3年間、いろいろな事があった。

私達が結婚をしても、龍生の人を魅了する容姿と地位に寄ってくる女は
後を絶たず、その処理に手を焼いているのが兄の宗志だった。

女達の鉾策はやはり女の私に向くもので、誘拐未遂や暗殺計画まであった
のには身震いしたくらいだ。

そういう事もあり、私は大学進学は諦め、本家でお義母さんと過ごしている。


最近は、そういう事件もなく穏やかにすごしていたのだが・・・。

テーブルの向かい側に座り、朝食を食べる龍生の顔を見つめた。

「俺の顔に何かついてるのか?」

「う~ん、最近何かあったの?」

私の顔をジッと見た後「フッ」っと息を漏らした。

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