雨の滴と恋の雫とエトセトラ
「みのりの目から見て、千佳とヒロヤさんのことはどう思う?」

「ヒロヤさんは、千佳のことすごい大事にしているけど、それ以上の発展はなさそうに見えるんだ。ヒロヤさんにはすでに忘れられない人が心に居る感じかな」

「えっ、なんでそんなことまで分かるの?」

「うーん、なんていうんだろう。ヒロヤさんはとっくに千佳の気持ちに気づいてると思うんだ。でも敢えてそれに気がついてないフリをしていてさ、そこにはヒロヤさんには好きな人がいるからどうしようもないからなんだと思う。それに千佳もその事を承知してるから、遠くから見ているだけになっちゃうんだろうね」

 千佳も確かに叶わない恋だとは言っていたが、ここまで冷静に見ているみのりが怖くなった。

「みのりって、普段どんなこと考えてるの。そこまで気が付くなんてすごすぎる」

「だから、真由がちょっと鈍感なのかな。山之内君のことにしたってさ、あんなに大切にされ、思われてる事を理解してないんだもん。まあ、こういうのは当人には見えないもんかもね。傍からだから見えるっていうのがあるのかも。やっぱり自分のことになるとわかんないもんね」

 急に一人で話して気分が沈んでいった。

 そこにはみのりの恋事情が絡んでいて、お得意の観察力も好きな人の前では役に立ってないという事が感じられた。

 確実にみのりはどこかで誰かに恋をしている。

「そっか、みのりも、その人の事が好きでたまらないけど、どうしていいのか分からずに、何も言えずに見ているだけなんだね」

「やだ、真由、どうしたの、急に」

 みのりの慌てぶりは見ものだった。

 やっぱり図星なのか、相当焦っては誤魔化そうとしている。

 皆、人のことは冷静に見られるけど、自分のことになると冷静になれずに、小さな事を見落としがちになるということだった。

 私はやっとみのりをやりこめた事が嬉しくて、そこばかりネチネチと攻めた。

 それでもみのりはポーカーフェイスを装っていたが、内心穏やかではなさそうで息が少し乱れていたのを私は見逃さなかった。
 

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