雨の滴と恋の雫とエトセトラ
「前置きはいいからすぐに話を聞きたいんだけど」

「分かってるって。そう焦りなさんな。拓登も茂もなんでまたここへ呼ばれたか分かってないんだ。今日は俺の個人の用事で来てもらった」

「で、その個人の用事って何?」

「まずはこれを真由に返すよ」

 瑛太はジーンズのお尻のポケットから何かを取り出した。

 それは黄ばんで古びれた紙が四つ下りになっていた。

 私はそれを手にすると、雨の滴が少しかかってちょっと濡れた。

「それさ、本当はそんな形じゃなかったんだけど、それしか残ってなくて、でもそれだけは捨てちゃいけないと思ったから、ずっと持ってたんだ」

 私は傘を肩に持たせかけ、そしてその紙を開いた。

「こ、これは」

 私の目が見開き、そして拓登を見つめてしまった。

 拓登は不思議そうにしていたが、私は手に持っていた紙を拓登に手渡したことで、拓登もはっとして、今度は瑛太を見つめていた。

「真由は拓登の手紙を失くしたんじゃないんだよ。俺が勝手に取っちまったってこと」

「瑛太、どうして」

 裏切られた失望感に動揺して拓登の瞳が揺れていた。

「ごめん。俺、明確な悪意を持って、それを隠しちまったんだ。拓登がアメリカ行くって聞いてさ、親友の俺よりも真由のことばかり気にかけるから、なんかイライラしてさ」

 瑛太はこの時嫉妬をしていたに違いない。

 まだ子供だったから、なぜそんな気持ちを抱いてしまうのか良くわかってなかったのだろう。

 だから、露骨に拓登が書いた手紙を私から奪ってしまった。

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