雨の滴と恋の雫とエトセトラ
「それじゃ、俺たち後ろ向いておくよ、なっ、茂」

「ああ」

 瑛太と阿部君がくるりと背を向ければ、傘が代わりにこちらを向いた。

 私と拓登はお互い笑い合っていたが、そのうちどんどん気分が高まった。拓登は自分の持っていた傘をわざと地面に放り投げ、そして私の傘の中に入って顔を近づけてきた。

「これ、犯罪じゃなないよな」

 私は微笑んだままそうじゃないとコクリと頷けば、拓登は優しく私の頬に唇をそっと触れさせた。

 キスというよりも、それは過去の記憶を思い出すためにお互い懐かしい思いを共有させる触れ合いだった。

 あの時の子供の頃の思い出が、鮮明に蘇ると共に、拓登へまた恋をするというドキドキとした気持ちが心地よかった。

 暫くその余韻を楽しんでお互い笑っていた。

「そろそろ、終わったか。まさかディープキスしてるとかじゃないだろうな」

 しびれを切らした瑛太が茶化した。

「それよりももっとすごいことしてるわよ」

 私の言葉に瑛太も阿部君もびっくりして反射で振り返る。

「おいおい、言ってくれるじゃないか。なんか腹立つな、真由は」

 憎らしいと瑛太は憤慨した態度をみせるが、目は笑っていた。

「はいはい、どんどん腹立てて下さいな。受けて立ちますから」

「おっ、やる気だな。じゃあとことん真由と拓登の邪魔させてもらうぜ」

「いいよ、別に。私も負けないから。私は卑怯な手はつかわないから、安心して邪魔して頂戴。瑛太にとっても拓登は大切な親友だからね」

 瑛太は一瞬目を見開いてはっとする。

 その後は生意気に笑って私を見ていた。

 多分これで通じたと思う。

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