雨の滴と恋の雫とエトセトラ
 またひそひそと何かを言われている気配を感じ、周りを見つめれば、わざとらしく目線をそらしている女子たちが多数いた。

 立て続けに山之内君に声を掛けられると、一体どんな噂をされているのか怖くなってくる。

「ちょっと、真由。すごいじゃない。今日もまた誘われて」

 攻撃でもするかのように、肘でつつきながらかの子が言った。

「なんか私達の方が邪魔した感じになっちゃったね。いきなりの展開だったから圧倒されちゃった」

 みのりが気を利かして上げられなかったことを悪く思っていた。

「気にしないで」

 みのりには笑ってそう答えても、あの時はそれを望んでいたと思うと私も複雑だった。

「この、この、やっぱり真由はかわいいから得だね。初めて真由を見たとき、すぐに友達になりたかったくらい目立ってたもん」

 かの子と仲良くなれたのも、入学式の時に声を掛けられたのがきっかけだった。

 積極的に話しかけられたのが嬉しくてそれで私もすぐに打ち解けた。

「そうだよな。素朴な気品ある可愛さがあって、それを鼻にかけてない落ち着いた雰囲気が確かにしてたわ」

 千佳がさらりと言ってくれた。

 かの子と千佳は同じ中学出身なので元から仲がよかった。

「私も真由の笑顔にやられた口だよ」

 みのりもエヘヘと照れた笑いを見せて言った。

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