一億円の契約妻は冷徹御曹司の愛を知る

「前にオーダーしたモケミの衣装があるの。私だと全然似合わないのよね。ほら私って長身のスレンダー美人じゃない。完全にキャラが違うのよ」

「伊都さん、ちょっと、落ち着いて」

 目をぎらぎらさせている彼女を落ち着かせようとするものの、前髪が触れる距離まで詰め寄られて身動きが取れなかった。

「あなただったら絶対にぴったりだわ! ねえ、やってくれない? いいでしょ?」

 ぎゅっと目を閉じた。至近距離での美少女の視線は心臓に悪い。首を振ることもできない距離まで迫られて、もう降参するしかなかった。

「わ、わかりましたから」

「本当? やったあ!」

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