一億円の契約妻は冷徹御曹司の愛を知る
飛び跳ねるように喜ぶ彼女を見て、肩の力が抜ける。壁にもたれながら、伊都さんはやっぱり善くんと双子なのだと再認識した。さっきまではつんとしていて近寄りがたかったけれど、無邪気に笑っている顔は年齢相応といった感じだ。
「待ってて! すぐ準備してくるから」
そう言い残し、伊都さんが雅臣邸を飛び出していく。ばたんと閉まる玄関扉の音を聞きながら、その場にへたり込んでしまった。
「なんだったの……」
まるで嵐のようだ。たった五歳しか違わないのに、伊都さんや善くんのパワーには圧倒されるものがある。それとも、二條家の人間だから普通の人よりも押しが強いとか?
はあっと、肺の空気を丸ごと入れ替えるような大きなため息が出た。
どうやら私は、押しに弱いみたいだ。
契約結婚を持ちかけてきた雅臣の魔王のような押しの強さを思い出しながら、リビングに座り込んでしばらくぼんやりしていた。