一億円の契約妻は冷徹御曹司の愛を知る

 どうにかヒモを留めて前に回ってきた伊都さんが、私の胸をつついた。補正されて寄った胸には普段以上の深い谷間ができている。

「あとはこれを装着してっと」

 私の頭に獣の耳みたいなふさふさな飾りを留めると、伊都さんは目を輝かせた。

「完璧だわ! どこから見てもモケミちゃん!」

 きらきらした瞳に気後れしながら、私は自分の格好を見下ろす。デコルテはむき出しで胸は最低限しか隠れていないし、ウエストは自分でも信じられないくらいにくびれている。うしろを見ると、腰のあたりからフサフサの黒いしっぽが垂れていた。

「なんですかコレ。猫?」

「黒キツネの神様よ!」

 訂正しながら、伊都さんはスマホを使ってバシバシと私の写真を撮っていく。

「ちょ、なに撮ってるですか!」

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