一億円の契約妻は冷徹御曹司の愛を知る

 そこには昔の外国の貴族が使っていたような重厚で上品な家具が並べられていた。壁には暖炉が備え付けられているし、天井からは存在感たっぷりにシャンデリアがぶらさがっている。

 あまりにも豪華な内装に、興奮よりも不安が勝った。突然異世界に紛れ込んでしまったみたいで、心臓が不規則な音を刻み始める。

 私、大変なところに来たんじゃ……と今さらながら焦りが広がる。

 この屋敷の住人らしき彼は、私を部屋の真ん中に下ろすと、優美な曲線を描く椅子を引き寄せてどかりと腰を下ろした。

「それで、何者だ? おまえは」

 鋭い視線に射すくめられる。真正面から見るとますます迫力のある人だった。

 シャツにパンツというシンプルな装いなのに、脚が長くてスタイルがいいせいかこの豪勢な空間にぴたりとはまる。

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