一億円の契約妻は冷徹御曹司の愛を知る
「そうですね。って、ちょっと待って!」
胸からおへその下にかけて縦に並んだホックをはずしていこうとする彼の指を、慌てて掴んだ。今はずされたら、前がはだけて胸が丸見えになってしまう。
「もう大丈夫です。あとは自分でできますから」
「ここまで煽っておいて、もう手を出すなと?」
「え――」
両肩を掴まれて、気がつくとソファに押し倒されていた。
「ちょっと、なに」
押しのけようとした手はすぐさま捕らわれ、顔の横に押しつけられる。身動きが取れないまま、深い茶色の瞳に見下ろされた。
心臓が激しく高鳴る。
彫りの深い目もとに影が落ちていた。いつも貫くような鋭い目線を私によこすのに、今は凛々しい眉を苦しそうに寄せていて、瞳はどことなく熱っぽい。
かすかに厚みのある唇が、小さく開いた。
「おまえは、俺の妻だな?」