一億円の契約妻は冷徹御曹司の愛を知る

 そう考えると、いろいろなことの辻褄が合う。

 なぜか涙がこみあげそうになって、唇を噛んだ。なんでこんなに悔しい気持ちになるのかわからない。

 二條家に形だけの妻として入る。私が大事な人のために決意したように、雅臣も大切な人のために決意したのだ。

 どうしてだろう。

 恐ろしくも、悲しくもないのに、なぜこんなに裏切られた気持ちになるの――。

「近寄らないでよ! 傲慢御曹司!」

 クッションを投げつけると、雅臣はあっさりとそれをキャッチした。

「ぎゃあぎゃあとうるさい黒ネコだな」

 ため息をこぼし、私の髪をするりと撫でる。

「遊び相手なんて、とっくにいない」

「……え」

「一ヶ月前、俺はおまえにプロポーズをして結婚の約束をした。よその女と関係をもったら不貞行為だろ」

「プ……」

 プロポーズ⁉

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