一億円の契約妻は冷徹御曹司の愛を知る

 言葉を失った。頭の中がぐるぐると混乱していく。

『俺の妻になれ』

 車の中で言われた言葉が脳裏をよぎる。たしかにあのとき、ちらっとプロポーズみたいだと思ったけれど、ただの契約にすぎないと思っていた。

 それなのに、当の本人はプロポーズをしているつもりだったの?

「でも、あなたは形だけの結婚をして、外で好き勝手に遊ぶつもりだったんですよね?」

 確認のつもりで口にすると、雅臣の整った眉間に深いしわが刻まれた。

「そんなことはひと言も言っていない。変な女とは結婚したくないと言っただけだ」

「えっと、ちょっとまって」

 頭の中にいろいろな言葉が飛び交ってまとまらない。

 雅臣が結婚を決意したのは、世間体のため。私が選ばれたのは『度胸がある』からで、そこに愛はなかった。

 それなのに。

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