一億円の契約妻は冷徹御曹司の愛を知る

 私と形だけの結婚をして遊び歩いていると思っていたら、そんな相手はいないと言い、不貞行為になるなんて、至極まっとうなことを口にする。

 いったい、どうなってるの。

「でも、だって。この間……長い髪の女の人と、本邸に行ってたじゃない」

 栗色のたっぷりとした髪が頭の奥にちらつく。女優のようにスタイル抜群で色気があってうつくしいあの人と、雅臣はキスをしていたのだ。最初に会った、あの桜の舞い散る日に。

「未希のことか」

 私の方へ乗り出していた体をわずかに戻し、雅臣はソファの背もたれに肘をついた。私にまっすぐな視線をよこし、あっけなく答える。

「あいつとはとっくに終わってる。おまえがうちに乗り込んできたその日にな」

「え……」

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