一億円の契約妻は冷徹御曹司の愛を知る

 はっとして顔を上げると、雅臣と視線がぶつかる。静かな目で私を見つめていた彼は、かすかに口角を持ち上げていた。

「妬いてるのか」

「えっ⁉」

 かっと頬が燃えた。顔を背けて強い瞳から逃れる。急上昇した熱を下げるように、冷えた両手で首を覆った。

「ち、ちがう。どうして私がヤキモチなんか」

 ぎしりとソファが軋む。せっかく距離を取ったのに、大きな体は簡単に間合いを詰めてくる。

「本当に、かわいいな、おまえは」

 至近距離で見つめられて心臓が破裂しそうだった。広い手のひらが私の頬をすっぽり覆い、その温かさにますます胸が鳴る。

 目を、逸らせない。

『私は、あなたを愛していません』

『俺もだ』

 そう言って、私たちはお互いを伴侶にすることを決めた。

 そのはずだったのに。

 この胸の高鳴りは、なに?

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