一億円の契約妻は冷徹御曹司の愛を知る
「んー美味しい! やっぱりココ、落ち着くわ」
洗練された大人の空間に体を縮こまらせて緊張している私と違い、伊都さんは慣れたものだ。
「いつもこういうところでお茶をするんですか?」
「あまり外ではお茶をしないわね。ケーキも飲み物も、ほしいものを言えば、それが家まで運ばれてくるから」
「お友達と学校帰りにカフェに寄ったりは?」
「友達なんていないもの」
「え」
しれっと口にした伊都さんをまじまじと見つめてしまう。彼女はつんとした表情のまま、なんでもないようにケーキを口に運ぶ。
「私は二條伊都なのよ。みんな私を見るとき、『二條家』のフィルターを通すの。逆らったらなにをされるかわからないって、勝手にこびへつらったり、逆に一切近づいてこなかったり」
呆気に取られている私に、名家のお嬢様は皮肉っぽく口角を上げた。