一億円の契約妻は冷徹御曹司の愛を知る
「二條?」
それまで無関心だった瞳が、ふいに強い光を宿す。何度か顔を合わせたことがあるのに、彼女はやっぱり私のことなんて少しも気に留めてなかったらしい。
猫のような強い目はじっと私を見つめ、やがて興味をなくしたように正面に戻った。
「そう。あなたが雅臣の」
なにも語らなくても彼女は即座に事情を理解する。
「なに? 私になにかご用? 心配しなくても、雅臣とはもう会ってないわよ」
カウンターに置かれたカクテルグラスを口に運びながら、つまらなそうに言う未希さんは、きっと雅臣にとって特別な存在だ。遊び人と噂されながらも自身に寄ってくる女性を毛嫌いしていた雅臣が、深い関係を結んでいた相手なのだから。
隙のないメイクが施された横顔をそっと見る。額から顎にかけて、とても美しいラインだ。