一億円の契約妻は冷徹御曹司の愛を知る

 気だるげながらも気品のある佇まいや、何気なくつけている装飾品の洗練された雰囲気からすると、どこか名の知れた家の令嬢という可能性もある。

「あの、あなたは雅臣の……」

 遊び相手? それとも恋人だった?

 疑問は最後まで口にできなかった。気になるのに、いざ口に出そうとするとためらわれる。ここまで話しかけておいて、肝心なところで臆病風にふかれてしまうなんて。

 この女性と雅臣との関係がよくわからない。遊び相手だと思っていたけれど、雅臣は遊び人というほど女性好きにも思えないのだ。

 引っかかっているのは伊都さんから言われた言葉だった。

『雅兄に想い人がいることも知らないんでしょう』

 この女性が、その相手だとしたら――。

「変な人ね。自分から私に話しかけてくるなんて。普通、夫の過去の女になんて会いたくないんじゃない?」

< 218 / 308 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop