一億円の契約妻は冷徹御曹司の愛を知る

 本邸のリビングで顔を合わせた雅臣の父親、二條公親の顔が思い浮かんだ。厳格な雰囲気をまとっていたあの人と雅臣の間には、やっぱりなにかがあるのだろうか。

「詳しいことは本人に聞いて。とにかく、私たちはお互いを都合よく使ってただけ。奥様が気にするような関係じゃないわよ」

『奥様』とわざとらしく発音した言葉に、どことなく嘲りが含まれている気がした。なにも知らない部外者だと、軽んじられたみたいに。

 でもたしかに、私は雅臣のことをなにひとつ知らない。

「彼には、小さな頃からずっと想い続けている人がいると聞きました」

 あなたのことですか?

 そう続けようと思ったら、未希さんは大きな目をきょとんと瞬いた。

「あら、そうなの? それは初耳」

 グラスに口をつけると、不思議そうに首をかしげる。

< 221 / 308 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop