一億円の契約妻は冷徹御曹司の愛を知る
本邸のリビングで顔を合わせた雅臣の父親、二條公親の顔が思い浮かんだ。厳格な雰囲気をまとっていたあの人と雅臣の間には、やっぱりなにかがあるのだろうか。
「詳しいことは本人に聞いて。とにかく、私たちはお互いを都合よく使ってただけ。奥様が気にするような関係じゃないわよ」
『奥様』とわざとらしく発音した言葉に、どことなく嘲りが含まれている気がした。なにも知らない部外者だと、軽んじられたみたいに。
でもたしかに、私は雅臣のことをなにひとつ知らない。
「彼には、小さな頃からずっと想い続けている人がいると聞きました」
あなたのことですか?
そう続けようと思ったら、未希さんは大きな目をきょとんと瞬いた。
「あら、そうなの? それは初耳」
グラスに口をつけると、不思議そうに首をかしげる。