一億円の契約妻は冷徹御曹司の愛を知る
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地上に続く階段を上り、ふっと息をついた。夕方の六時を過ぎ、辺りは薄暗い。
西の空を見ても屹立するビル群に阻まれて、陽が沈んだのかどうかはわからなかった。それでも周囲には太陽が残した熱が立ち込めている。
むっとした空気の中を駅に向かって歩き出す。近道のために公園を突っ切っていると、涼しげに水を噴き上げる噴水が目に入った。
通り沿いのビルはどこもかしこも明かりを灯して煌々とまぶしいけれど、この時間の公園はビルに囲まれているとは思えないほどひっそりとしている。
暗闇が押し寄せるように、私の脳もぐるぐると同じことを考え続けていた。
雅臣がずっと想いを寄せている人。未希さんじゃないのなら、いったい誰なんだろう。