一億円の契約妻は冷徹御曹司の愛を知る

 自分が置かれた境遇を考えて、じりりと胸が焼けこげる。だけどそれ以上に、雅臣の気持ちに苦しくなる。

 なんて悲しいんだろう。

 あの人はずっと孤独だったのだ。多くの女性と関係をもっていたくせに、唯一心を許せる女性は別の誰かのものになり、どこにも居場所がなかった。

 立ち尽くしていると、バッグのなかでスマホが震えた。画面を見ると雅臣の名前が表示されていて、急いで耳にあてる。胸にひしめく感情を押しやって、「はい」と普段通りの声を出した。

「愛か。今日は出かけてたそうだな」

「ええ。伊都さんと買い物をしてて」

「今どこにいる。俺もこれから帰りだから、ついでに乗っていけ」

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