一億円の契約妻は冷徹御曹司の愛を知る



 気がつくと、薄暗い場所で地面に横たわっていた。古い木材と錆びた鋼鉄みたいな、ほこりっぽいにおいが鼻をつく。

「ここは……」

「やあ、愛ちゃん。目が覚めた?」

 身を起こした瞬間、横から声がしてぎくりとする。

 パチッとスイッチを入れる音が聞こえ、辺りにオレンジ色の明かりが降り注いだ。まぶしさに目を細めながら、そこに現れた人物に息をのむ。

「沢渡、さん」

 声を震わせる私を見下ろすと、かつての指導係だった彼は薄い唇の口角を上げて、うっすら笑った。

「相変わらず、かわいいね」

「どうして、あなたが」

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