一億円の契約妻は冷徹御曹司の愛を知る

「あいつのところ? 無理やり結婚させられたんだから、逃げればいいじゃないか。それともやっぱり弱みでも握られてる?」

「私は、自分の意思であの人と一緒にいるんです。だから帰ります」

 雅臣のところへ。

 ドアに向かって一気に駆けだす。取っ手を掴んだ瞬間、肩を掴まれて引き戻された。壁に強く押し付けられ、痛みを感じている間に完全に逃げ道を塞がれていた。

「好きでもない男と一緒にいてなんになる? それともやっぱり金目当て?」

 真正面から見下ろされ、体が凍りついたように動かない。沢渡さんの目が笑っているのに冷たくて、ぞわぞわと怖気が止まらなかった。

「あいつは女をとっかえひっかえしてる男だよ。そんなヤツといて、愛ちゃんが幸せになれるわけないだろ?」

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