一億円の契約妻は冷徹御曹司の愛を知る
「愛、大丈夫か!」
雅臣の大きな手が私の髪に触れる。
心配そうに私を覗き込む深い茶色の瞳に声が出なかった。会いたいと強く願った私の願望が、いきなり叶えられたみたいに胸の高鳴りが激しい。
なにも口にできないまま泣きそうになっている私を静かに抱き寄せて、雅臣は優しく頭を撫でてくれた。
心がほどけていく感覚に、痛感する。
やっぱり雅臣のぬくもりは、私の気持ちを一瞬で落ち着かせてくれる。どんな絶望の淵に立たされてもきっと守ってくれると思えるような、絶対的な安心感をくれる――。
「常務、あんた……なんで、ここが」
雅臣はゆっくり私を離すと、メガネがずれたまま目を見開いている沢渡さんを冷たく見やった。
「携帯のGPS機能をたどってね」
「バカな。愛ちゃんの携帯は噴水に」