一億円の契約妻は冷徹御曹司の愛を知る



 照明を落としても、まぶたを閉じても、目の奥が冴えわたっている。一向に訪れる気配のない睡魔を待つことにも疲れ、のそりと体を起こした。

 リモコンで明かりをつけると、必要最低限の家具しかない寒々しいほどの空間が広がる。

 あと三人は余裕で寝られるベッドの上でぼんやりしているうちに、ますます眠気が遠のいていった。

 今日はいろんなことが起きて疲れているはずなのに。

 結局あの後、沢渡さんは駆けつけた警察官に連行されていったけれど、雅臣が働きかけてくれたおかげか、私が警察署で事情を説明することはなかった。

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