一億円の契約妻は冷徹御曹司の愛を知る
「うそ。待って、それなら」
ちゃんと向こうに置いておかなきゃ、と口にする前に、胸もとに唇を付けられて悲鳴を上げた。甘い刺激に力が入りそうになり、あわててメガネを枕もとに置く。
「待ってってば」
「待たないって言っただろう」
皮肉っぽく笑う顔に、頬が燃えた。焦ってるはずなのに、甘ったるい感覚が胸に広がっていく。
「なんで、そんなイジワルするのよ」
なんだかくやしくて目を伏せると、思いもよらない答えが返ってきた。
「おまえが可愛いからだ」
目を上げると視線がぶつかった。着ていたものを脱いで私を見下ろす彼は、めまいがしそうなほどの色気を放つ。
「だいぶ待たされたからな。これくらいの悪戯は許されるだろ?」
「ずるい」
どうしてそんな目で見るのよ。
なぜ愛しいものを愛でるように、優しく笑うの。