一億円の契約妻は冷徹御曹司の愛を知る
私があなたを想っているほど、あなたは私を想ってはいないでしょう。
あなたが好きなのは、女の外側だけなんでしょう。
……たったひとりの女性を除いて。
雅臣の唇や指先に翻弄されながら、甘くて苦い感情に胸が焼けこげそうだった。
でも、それでいい。
そんな雅臣を、私は受け入れようと決めたのだ。
いや……そうじゃない、かな。
体中に感じるはじめての感覚に戸惑いながら、それでも満たされていくのがわかった。雅臣の熱を全身で感じて、私は心から喜びを抱いている。
ふと動きを止めて、雅臣が私を見下ろした。
長い指が伸びて、私の目じりから流れ落ちるしずくを拭いとる。
「どうした。泣くほど気持ちいいか?」
「……バカ」
いたずらっぽく口角を上げる彼に、自分から腕をのばしてしがみついた。
不思議そうに「愛?」とつぶやく彼の耳もとでささやく。