一億円の契約妻は冷徹御曹司の愛を知る

「好き」

 心の声がそのまま溢れたように、言葉はなんの抵抗もなく、何物にも阻まれることなく、こぼれていく。

「好き、雅臣」

 私を支える手に力がこもり、きつく抱きしめられた。首筋から耳まで流れるようにキスをされ、囁かれる。

「俺もだ、愛」

 熱っぽい声に、ぎゅっと胸が軋んだ。

「おまえが好きだ」

 喜びと一緒に切なさがこみ上げて、ますます涙があふれ出す。

 私は知っている。

 雅臣は、とても優しい。

 優しいから、私の気持ちをきちんと受け止めて、応えてくれようとするのだ。

 行き場を失った想いを抱いていることが、どれほどつらいことか、彼自身が知っているから。

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