一億円の契約妻は冷徹御曹司の愛を知る
「……あなたは、いったい誰なんですか?」
「二條雅臣。二條家、現当主の息子だよ。次男だけどな」
皮肉っぽく目を細めて、彼は言った。
「おまえが絵を手に入れる方法は、どちらかしかない」
精緻な図柄の絨毯が、足元からぐるぐると模様を伸ばしていくみたいだった。圧倒的な権力とオーラを持った彼を前に、今さら足が震えだす。
「選べ。一億用意するか、それとも俺の妻になるか」
頭の中をいくつものシーンが駆け抜けていく。幼い頃の自分と、母との思い出。病が発覚してからどんどん弱っていく母の姿。それでも私を元気づけようと笑ってくれる顔。
分不相応なものを手に入れるためには、なにかを犠牲にしなければならないのだと、今さらながら思い知る。