一億円の契約妻は冷徹御曹司の愛を知る
そう続ける雅臣の声は、怒りや悲しみで震えることもなく、淡々としていた。そういった感情はすべてどこかに置いてきてしまったみたいに、ただ遠い記憶として口にしているようだった。
『母が危篤だったときも、あいつは来なかった。後から知ったことだが、秘書と旅行に出かけていたらしい。そして母親が死んですぐ、あいつはその秘書と再婚した』
清香さんの美しい微笑みが脳裏をよぎって、ざわりと心臓がさわいだ。雅臣の父親は、自分の妻が病と闘っているときに秘書と不倫をしていたというの……?
『母は病を押して俺たちを産んだのに、あいつは俺と兄貴を道具としか思ってない。本当は、後を継がせる気なんかないのさ』
『どうして、そう思うの?』
『愛。いい名前だよな、本当に』
ふいに話が変わって戸惑う私の頬をそっと撫で、雅臣は静かに口にした。
『母が危篤だったときも、あいつは来なかった。後から知ったことだが、秘書と旅行に出かけていたらしい。そして母親が死んですぐ、あいつはその秘書と再婚した』
清香さんの美しい微笑みが脳裏をよぎって、ざわりと心臓がさわいだ。雅臣の父親は、自分の妻が病と闘っているときに秘書と不倫をしていたというの……?
『母は病を押して俺たちを産んだのに、あいつは俺と兄貴を道具としか思ってない。本当は、後を継がせる気なんかないのさ』
『どうして、そう思うの?』
『愛。いい名前だよな、本当に』
ふいに話が変わって戸惑う私の頬をそっと撫で、雅臣は静かに口にした。