一億円の契約妻は冷徹御曹司の愛を知る
『俺や兄貴の名前とは、全然ちがう』
『え……?』
『二條晴臣、二條雅臣。臣っていうのは臣下って意味だろ。大臣とも言うが、結局は高官どまり。トップを支える役目ってことだ。つまりあいつにとって俺たちは、自分を支えるコマでしかない』
なんて返せばいいかわからず固まっている私に、雅臣は少しだけ皮肉っぽく笑った。
『それでいて再婚相手の息子に“善”だと。親父の本命は、あの能天気な腹違いの弟のほうなのさ』
ふっと呆れたように笑う雅臣の顔を、とっさに抱きしめていた。
彼がずっと抱えてきた孤独の根源に、触れた気がしたのだ。
雅臣が年上の女性に想いを寄せてしまうのも、私の母の転院先をすぐさま手配してくれたことも、彼にとっては必然だった。
『ねえ、雅臣。私、ちゃんとあなたの妻になるから』