一億円の契約妻は冷徹御曹司の愛を知る

「雅臣は、お義父さまから直接、話を聞いたことはないのでしょう? だったらしっかり聞くべきです」

 あなたの父親が、なにを考えて、どう依子さんとの時間を過ごしたのか。

「はっ、そんなのはわかりきっている。親父は政略結婚で好きでもない相手と結婚させられた。だから妻を蔑ろにした。それだけだ!」

 強い口調で吐き捨てた雅臣に、私は言い返す。

「それはあなたの勝手な考えでしょう! そうやってずっと思い込んできただけかもしれないじゃない!」

 ぐっと言葉を呑み込む雅臣を見上げていたら、後ろの方からくつくつと声が聞こえた。振り向くと、二條公親がコホンと咳ばらいをする。どうやら私たちのやりとりを見て笑っていたらしい。

「いや失礼」

 目もとにやさしい皺を浮かせて、二條家の当主は私たちを交互に見つめた。

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