一億円の契約妻は冷徹御曹司の愛を知る
まあそれは大げさだが、と笑って、雅臣はいたずらっぽく目を細める。
「運命が降ってきたと思った」
改めて思い出す。二條家にそびえる桜の樹をよじのぼり、初めて二條家の敷地に足を踏み入れたあの日のことを。
桜の樹の上で足を踏み外した私を、雅臣が受け止めてくれたことを。
「お前を妻に迎えて、俺は自分の責任を果たす。二條家の人間として、腹をくくって生きる」
初めて目にしたときから吸い込まれそうだと思っていた強い瞳は今でも変わらない。ぶれることなく、まっすぐ貫くように私を見つめる。
「そう決めたんだ。お前と出会った、あの日に」
雅臣の腕を掴んだまま、私は喉が震えそうになるのを懸命にこらえた。言葉の代わりに吐息を何度かこぼし、どうにか口にする。
「じゃあ、伊都さんが言ってた、雅臣がずっと想いを寄せてた女性って」