一億円の契約妻は冷徹御曹司の愛を知る
彼の凛々しい眉がぴくりと動いた。わずかに表情を曇らせ、気まずそうに目を逸らす。
「あんまり言うな。たしかに伊都には口を滑らせたことがあるが……恥ずかしいだろ、絵の中の女を好きだったなんて」
体から力が抜けて、私はその場に座り込んだ。「あ、おい」と私を支えようとしてくれた雅臣も地面に膝をつく。
胸の中でいろんな感情が入り混じり、化学反応でも起きたみたいに全部が弾けたあと、残ったのは安堵だった。
「なんだ……」
はあと大きく息をつく私を見やり、雅臣は眉根を寄せる。
「なんだとはなんだ。俺がせっかく思い出話を――」
目を三角にして怒りだそうとする雅臣に、勢いよく飛びついた。
「うわ」と勢いあまって後ろに尻もちをつく彼の首に腕を回し、ぎゅっとしがみつく。