一億円の契約妻は冷徹御曹司の愛を知る
 苦笑する楓さんに掴みかかる勢いで近づいたとき、リビングの扉が開いた。

「なんだ、騒々しい」

 Tシャツにジーンズというシンプルな装いで現れた雅臣は、今日は仕事が休みだったらしい。調べものでもしていたのかメガネ姿で、手にはなにやら紙袋を下げている。

「わたしの荷物知りません? まるごとなくなってて」

「ああ、それなら俺の部屋に移動させた」

「え……」

「そろそろ寝室は一緒でいいだろう。おまえが使ってた部屋はもともとゲストルームだしな」

「え……でも」

 突然のことに戸惑っている私に、雅臣は目を細めて意地悪っぽく唇を持ち上げる。

「夜眠れないんだろう? 俺がとなりにいないと」

「あら、そうなんですか」

 楓さんがぱっと楽しそうに笑って、私は慌てて首を振った。

「ち、違います!」

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