一億円の契約妻は冷徹御曹司の愛を知る
自分の結婚式で、私は与えられた役を演じるのだ。二條家に嫁ぐ花嫁役を。
「任せてください!」
片手でガッツポーズを作ってみせた。私にしかできない役割がようやく与えられたようで、実際に気持ちも沸き立っている。
不安はあるけれど、それでもきちんと役割を全うできる気がした。雅臣とふたりでなら――。
「完璧にやりきってみせます!」
笑顔で答えると、私の旦那様と二條家の優秀な執事は、毒気を抜かれたように目を瞬いた。
ふっと吐息の漏れる音がする。
「なんとも頼もしい奥様ですね」
普段から厳しくてなかなか笑顔を見せない坂城さんがふわりと表情を崩すと、雅臣邸の主人はあきらめたようにため息をつき、背筋を伸ばした。
「……仕方ない。こなしてやるか。俺は二條の息子だからな」