一億円の契約妻は冷徹御曹司の愛を知る
「このあいだの忘年会のときにさ、御沢駅の近くに住んでるって言ってたでしょ。だからちょっと、探しちゃった」
背筋がぞっと寒くなった。
それってつまり、家までつけてきたことがあるってことじゃ……。
夕日が沈み、辺りは暗くなり始めている。通りに人気はなく、じわりとイヤな感覚が背中を下りていく。
「愛ちゃん、うちの会社だけじゃなくて派遣自体を辞めるんだって?」
私が一歩後ずさると、沢渡さんは同じ歩幅で一歩前に踏み出した。じりじりと追い詰めるように、間合いを詰めてくる。
「俺さ、本当に愛ちゃんのこといいなと思ってて。もう会えなくなると思ったら、いてもたってもいられなくて」
顔をゆがめる彼の目に狂気じみたものを感じて、私はとっさに走り出した。けれど、すぐに腕を掴まれて引っ張られる。抵抗する間もなく、振りほどけないような強い力で抱きしめられた。