一億円の契約妻は冷徹御曹司の愛を知る
鮮やかなターコイズで模様が描かれた紅茶ポットから同じ模様のカップにお茶を注いで、楓さんは嬉しそうに笑う。彼女が慣れた手で扱う陶器はイギリスの名門ブランドのもので、ポットだけで十万円以上するらしい。
抱き締めていたクッションを座面に戻し、私は慎重にカップを持ち上げる。今座っているソファは三百万円以上するイタリアの最高級ブランド品だ。最初は座ることすら憚られたけれど、そんなことを言っていたらこの家では暮らしていけない。なにせそこら中の物が、私の想像を二桁ほど上回る高級品なのだ。
だから開き直って座り心地を最大限堪能するようにソファへ寝そべるところまではいけたけれど、さすがにお茶をこぼす勇気はない。
「だって雅臣様は、今まで誰ひとり女性をこの家に入れたことがないんですよ」
「楓さんは入ってるじゃないですか」