一億円の契約妻は冷徹御曹司の愛を知る
「とんでもない! めちゃくちゃスパルタです!」
反論すると、彼は隣のスペースに腰かけ私が置いた紅茶を受け皿ごと持ち上げた。
「ローテーブルなら、カップはソーサーごと持つのが基本だ」
カップのハンドルを親指と人差し指と中指でつまみ、優雅に口に運ぶ。その仕草が完璧に様になっていて、本当に上流階級の人なのだなと再認識した。
というか、関節キスなんですけど。
当の本人はまったく気にする様子もなく、喉が渇いていたのか残っていた紅茶を空にしてしまった。
「愛さんはマナー講習ばかりで疲れていらっしゃるんですよ。気分転換が必要なのでは?」
楓さんの言葉に私が激しくうなずくと、二條雅臣は怪訝そうに眉をひそめる。
「やりたいことをなんでもやればいいだろ。必要なものは坂城に言って用意させればいい」
「やりたいこと……」