負け犬の傷に、キス
ひざが笑ってる。
実はものすごいエネルギーを使ってたんだろうな。
頑張るって本当は心も体も疲れる。
だけど頑張ってよかった。
だって今、楽に呼吸ができる。
「話を聞かなくても、どうだったかわかっちゃったわ」
消毒液のにおいじゃない甘い香りがした。
辻先生の机の上には2つのグラス。
アイスティーを準備してくれていたらしい。
今日の昼休みの保健室当番はわたしだった。
そのとき辻先生が、わたしの悩みをずっと心にとめてくれていたことを知り、放課後にアフタヌーンティーをかねてお話をする約束をしたのだ。
相変わらず生徒思いで優しいなぁ。
「津上さん、ミルクはいる?」
「はい。ひとつお願いします」
グラスにミルクが注がれていく。
からんころん、氷が踊る。
「わたし、辻先生にたくさん相談乗ってもらってるじゃないですか。今になって自信がなくなってきたので一応確認なんですけど、気にかけてくださってた相談ってお守りの件ですよね……?」
「お守りの件もそうだし、頑張りたいことの件も……あのアドバイスで大丈夫だったか心配で……」
「辻先生……。ありがとうございます」
「どうだったの? 大丈夫だった? ……なんて、今の津上さんを見れば聞くまでもないわね」