負け犬の傷に、キス
元々着ていた制服はレジ袋に入れてくれた。
とってもいいお店だったな。
カオルさんが注目するだけある。
お店を出て野菜のスムージーを飲んでいると、美容師らしい男性に呼び留められた。
なんでもわたしたちにヘアメイクモデルを頼みたいらしい。
無料だし時間はあるので了承したら
さらなる変身をとげてしまった……。
「す、すごい……!」
パパパッと髪の毛を整える程度にカットしたあと
うしろに高めのポニーテール
……と思ったらフィッシュボーン?
何やらすごいことをしてくださったのに一瞬すぎてどうやったのかまったくわからなかった。
おまけに結び目にスカーフを飾り付けまで。
メイクは服に合わせて大人っぽくほどこしてくれた。
真っ赤なリップがお気に入り。
「わたしがわたしじゃないみたい……」
ただでさえこのコーデで新しい自分になれたうえに、また新しい自分を見つけてしまった。
学校にいたときは憂鬱だったのに。
今では、今日は特別なのかもって、調子乗りそう。
「わっ、すごくかわいいよ津上さん!」
「く、草壁くん!」
わたしより先にヘアセットをしてもらった草壁くんも、元からかっこいいけどもっともっとかっこよくなった。
一段と年下に見えなくなった。