ワケあり花屋(店長)とコミュ障女子の恋
使っているもの一つ一つにも買ったときや使った時の思い出が宿っている。
海は、久しぶりに出した思い出の物を手にしながら、香菜との思い出がよみがえっていた。

「姉貴、好きでしたもんね。アウトドア用品集めるのも、使うのも。」
「あぁ」
二人の共通の趣味だったことを凌駕もよく知っている。

香菜との思い出を思い出すとつらくなるからと思い出さないようにしている海。でも、何か思い出の物があれば、自然と思い出してしまう。

「店長、お肉、焼けましたよ」
椿が海の表情を見て話しかける。
「どう見てもまだだろ」
椿が自分のために声をかけたとわかりながらも、海は笑いながら返事をした。
「お前、絶対に明日痛くて泣くぞそれ」
椿の真っ赤になった肩を見て海が言う。

「あー。それ、海水で濡れてるからね~」
着ていた白のパーカーは海に入って濡れている。
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