ワケあり花屋(店長)とコミュ障女子の恋
「桜井椿さん?」
「はい」
履歴書に書かれた名前を読み上げる海。
二人は店の端に置いたままだった面接用の椅子に座り面接を始めた。

海は凌駕とかわしたばかりの約束を思い出す。
次に来た人を採用するといった手前ちゃんと面接しないとならない。
でも・・・こんなにも不器用に笑う人を見たことがない海は大きな不安を感じていた。

このまま履歴書を抹消すれば凌駕に面接したこともばれずに済むかもしれないとまで考えるほど、その女性、椿はぎこちない表情だった。
「好きな花は?」
「・・・かすみそうです」
「花言葉は?」
「幸福、親切、無邪気、清らかな心です・・・」
「嫌いな花は?」
「椿です・・・」
「椿?」
海はもう一度履歴書の女性の名前を見る。そこには間違いなく桜井椿と書かれていた。
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