ワケあり花屋(店長)とコミュ障女子の恋
椿が不器用に海の体を抱きしめる。

海は椿なりの励ましなんだとわかっている。

だから椿の背中に手をまわすこともせず、離れることもせず、ただ抱かれていた。

香菜が死んでから初めて、あの夢を見ずに眠ることができたのはどうしてなんだろうか・・・

ふと心の奥でそんなことを考えている海。

不器用な椿の優しさに包まれて海は目を閉じた。




店の裏口。
凌駕が二人を見ていた。
そしてくるりと自分の体の向きを変えて空を見る。
その瞳の端からは一筋の涙が流れた。
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