咎人と黒猫へ捧ぐバラード
黒猫ネマが体育館倉庫の前で止まると、そわそわと動いている。
「ここにいるの?」
真吏がその扉を開けると、首を締め上げられている青年と女の姿が飛び込んできた。
「鷹人君!」
鷹人が意識を失う直前、真吏の声が響く。
「人間の邪魔が入った。まあいいわ。またね、坊や」
女は鷹人の首から手を放し、足早に去って行く。
鷹人は崩れ落ち膝をついた。
真吏が走り寄って来る。
「大丈夫!?」
真吏が鷹人の肩を支える。
僅かに苦悶に顔を歪ませていた青年が余裕を取り戻し、微笑して見せた。
真吏は安堵としたと同時に胸が鳴る。
「……あなたに助けられたな。感謝する」
「鷹人君が、無抵抗で危害を受けるなんて」
信じられない位の体術と技で彼は敵をなぎ倒してきた。
それなのに抵抗力を奪われた上に襲われるとは、にわかに信じられない出来事である。
「あれはヒューマノイドだ。清白に近い高性能ヒューマノイドだとは思うが……」
鷹人は絞められた喉元に手を当てる。
女は青年を昔から知っているような口ぶりだった。
ヒューマノイドが怨みの意思を持って、彼に接近してきたということだろうか。
心配そうな表情をしている真吏に気づいた鷹人は、口を開く。
「よくおれが、ここにいるとわかったな」
「まあね。ジャーナリストだし。聞き込み力を舐めてもらったら困るわ。第一は黒猫のおかげ……あら?」
真吏が胸を張った後に周辺を見回した。
黒猫がいない。
「ネマがいないの。案内してくれたのに」
「また着いて来ていたのか」
真吏は頷いた。
「変ね」
彼女は答えた。
本当は鷹人が女のナンパの誘いに乗ったのだと思い、それ見た途端に叫んでいた。
それに先ほどの微笑。
自分を安堵させるためだったとしても、青年のあの笑顔を一人じめしたいとも思ってしまう。
外が慌ただしくなった。
廊下を駆け回る複数の足音が聴こえる。
「大変だ、生徒が撃たれた!」
男性教師らしい男の声が響き渡る。
校内は完全にパニック状態に陥っていた。
「ここにいるの?」
真吏がその扉を開けると、首を締め上げられている青年と女の姿が飛び込んできた。
「鷹人君!」
鷹人が意識を失う直前、真吏の声が響く。
「人間の邪魔が入った。まあいいわ。またね、坊や」
女は鷹人の首から手を放し、足早に去って行く。
鷹人は崩れ落ち膝をついた。
真吏が走り寄って来る。
「大丈夫!?」
真吏が鷹人の肩を支える。
僅かに苦悶に顔を歪ませていた青年が余裕を取り戻し、微笑して見せた。
真吏は安堵としたと同時に胸が鳴る。
「……あなたに助けられたな。感謝する」
「鷹人君が、無抵抗で危害を受けるなんて」
信じられない位の体術と技で彼は敵をなぎ倒してきた。
それなのに抵抗力を奪われた上に襲われるとは、にわかに信じられない出来事である。
「あれはヒューマノイドだ。清白に近い高性能ヒューマノイドだとは思うが……」
鷹人は絞められた喉元に手を当てる。
女は青年を昔から知っているような口ぶりだった。
ヒューマノイドが怨みの意思を持って、彼に接近してきたということだろうか。
心配そうな表情をしている真吏に気づいた鷹人は、口を開く。
「よくおれが、ここにいるとわかったな」
「まあね。ジャーナリストだし。聞き込み力を舐めてもらったら困るわ。第一は黒猫のおかげ……あら?」
真吏が胸を張った後に周辺を見回した。
黒猫がいない。
「ネマがいないの。案内してくれたのに」
「また着いて来ていたのか」
真吏は頷いた。
「変ね」
彼女は答えた。
本当は鷹人が女のナンパの誘いに乗ったのだと思い、それ見た途端に叫んでいた。
それに先ほどの微笑。
自分を安堵させるためだったとしても、青年のあの笑顔を一人じめしたいとも思ってしまう。
外が慌ただしくなった。
廊下を駆け回る複数の足音が聴こえる。
「大変だ、生徒が撃たれた!」
男性教師らしい男の声が響き渡る。
校内は完全にパニック状態に陥っていた。