愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜



目が覚めた今、男と同じベッドにいるのは少し抵抗があった。


どうせなら瀬野の分のお弁当も作ってあげよう。
そう思い、長い髪を束ねてキッチンへと向かった。


とはいえ手の込んだものを作る暇はないため、いくつかお弁当用の冷凍食品も使わせてもらう。

昨日の夜ご飯はちゃんと作ったのだ、そこは目を瞑って欲しいところ。


卵焼きとサラダは手作りし、焼鮭も入れることにした。

あとは冷凍食品の力を借りて完成だ。


その次は朝ごはんを作ろうと思い、買っておいた食パンを取り出したその時。


ガタッと大きな音が部屋から聞こえてきた。
それは明らかに自然の音ではない。

瀬野の身に何かあったのだろうかと思い、部屋に戻ろうとしたけれど───


「どこに……っ!」
「え、あ…瀬野くん?」


焦った様子の瀬野が部屋を出てキッチンのところまでやってきた。

その額には汗が滲んでいる。
少し息も乱れている瀬野の身に一体何があったのだ。

< 34 / 600 >

この作品をシェア

pagetop