愛溺〜偽りは闇に堕ちて〜
「今日は行ってあげる」
「本当?ありがとう。先に行って待ってるね」
「うん、破ったら怒るからね」
「破るわけないよ。学校でも川上さんと過ごせる時間ができたんだ」
嬉しそうに笑う瀬野を見て、悪い気はしない。
今日の昼休みは瀬野とふたりで過ごせる。
私も少しくらいは嬉しいと思っていたけれど───
「本当に心配したんだからね!?ふたりとも休むんだから何があったのかと思ったよ!」
「それにしても涼介すげぇな!
学校休んでまで川上さんのそばにいるとか」
昼休み。
私は相談室ではなく、教室にいた。
それも瀬野は机を挟んだ向こう側に座っていて。
お互いに向き合う形で座らされたのだ。
教室を出る前に、私たちは真田と沙彩によって止められてしまい、その結果今の状況である。
真田や沙彩に限らず、他のクラスメイトも私たちに興味津々なのだから下手な動きはできない。
「あ、あの…沙彩?
これって一体どういう…」
わざとというより、本当に戸惑っている。
ふたりの意図が全くわからない。
とりあえず私は階段から落ちて頭を打ったとありきたりな嘘をつき、瀬野は真田の言った通り学校を休んでまで私のそばにいたという設定である。
というより、後者は事実なのだけれど。